相続税改正のポイント
1.改正の枠組み
改正相続法の内容は、おおむね以下のように分類されます。
1.配偶者保護のための方策
①配偶者居住権の創設
②持ち戻し免除の意思表示と意思推定規定
2.遺言の利用を促進するための方策
①自筆遺言証書の方式緩和
②自筆遺言証書保管制度の創設
③遺留分の金銭債権化
④遺言執行者の権限の明確化
3.相続人を含む権利関係人の実質的公平を図るための方策
①遺産分割前の預貯金の払戻制度の整備
②遺産分割前の遺産処分の場合の遺産の範囲
③親族による特別寄与制度の創設
4.相続の効力等に関する方策
今回は、相続法の主な改正点のうち「預貯金払戻制度のポイント」を解説します。
1.預貯金払戻制度創設の意味
最高裁判決により相続人された預貯金は、遺産分割の対象だと確定したことで、預金は相続人全員の申請によらなければ払戻が出来なくなりました。しかし相続人の生活費や葬儀費用、相続債務の弁済など資金が必要となることが発生し、相続人全員の合意が得られないと支払いに支障が生じることが予想されます。
改正により、共同相続人単独で預貯金の払戻が出来る制度が創設されました。
2.家庭裁判所による保全処分の要件緩和
家庭裁判所は、以下の要件があるときは、遺産に属する特定の預貯金の全部または一部を申し立てた者に取得させることが出来るとしました。
①遺産分割の審判または調停の申立があったとき
②相続財産に属するさいむの弁済、相続人の生活日の弁済その他の事情により遺産に属する預貯金を払い戻す必要があるとき
③共同相続人の利害を害しないこと。
3.家庭裁判所を経ない預貯金払戻制度の創設
各相続人は、遺産に属する預貯金債権について相続開始時の預貯金額の3分の1に法定相続分をかけた金額(金融機関が数行に及ぶときは各金融機関ごとに上限150万円)については、単独で権利の行使が出来るものとしました。各債券から充当を受けるかは、払戻請求者の指定あるいは金融機関との合意で決められます。
ただし、払戻を受けるには預貯金が弁済期にある(定期預金の期間中でないこと)ことが必要です。金融機関が期限の利益を法規した場合はその限りではありません。
払い戻された預貯金は、払い戻した起用どう相続人が一部分割により取得したものとみなされます。
この仮払い制度は、施工日前に開始された相続に関しても施行日以降に預貯金債権が行使される場合にも適用があります。
次回は特別寄与制度、共同相続権利取得対抗要件についてのポイントです