相続法改正のポイント
1.改正の枠組み
改正相続法の内容は、おおむね以下のように分類されます。
1.配偶者保護のための方策
①配偶者居住権の創設
②持ち戻し免除の意思表示と意思推定規定
2.遺言の利用を促進するための方策
①自筆遺言証書の方式緩和
②自筆遺言証書保管制度の創設
③遺留分の金銭債権化
④遺言執行者の権限の明確化
3.相続人を含む権利関係人の実質的公平を図るための方策
①遺産分割前の預貯金の払戻制度の整備
②遺産分割前の遺産処分の場合の遺産の範囲
③親族による特別寄与制度の創設
4.相続の効力等に関する方策
今回は、「遺留分制度の改正」のポイントを解説します。
遺留分減殺請求とは、相続人は最低法定相続分の1/2の遺産を引き継ぐ権利を要す。
1.遺留分減殺請求権の制度は「遺留分侵害額請求権となります。遺留分侵害請求権は、遺留分侵害額に相当する金銭盛況権を発生させる権利です。
改正前は、遺留分減殺請求権が行使されると遺産の共有状態が生じました。そのため遺産である不動産や株券の処分や権利行使は遺留分権利者と共に行うことが必要でした。このような共有状態が事業承継の妨げな成るとの指摘がされていました。
今回の改正で、遺留分侵害部分を金銭債権で解決することにより、共有関係が生じても法律関係が複雑に成ることを防ぐことが出来、遺言者の意思を尊重出来るようになりました。
遺留分算定については、改正前は相続人への贈与分は無制限でさかのぼっていたものを、改正により相続開始10年間に贈与されたもの(特別受益に当たる贈与、婚姻・養子縁組のための贈与、生計の資本となるための贈与に限る)のみを加算することになりました。
次回は預貯金払戻制度のポイントです